さらに弟ダニーが効果音をリズムに取り込めば、兄リチャードは場面転換やフィルムの早回しの演出で応える、そんなあうんの呼吸が、この異色のミュージカルを完璧なものにしていることは言うまでもないだろう。サントラ盤のインナーにツーショットで写っている兄弟は、おでこのあたりがソックリだ。
さて、このサントラをきっかけにバンド名を「オインゴ・ボインゴ」に縮めたダニーと仲間たちは、1981年にメジャー・デビュー・アルバム「オンリー・ア・ラッド」を発表。1995年のハロウィンに行われた解散コンサートまで10年以上に渡って音楽活動を展開していく(最後にはバンド名はさらに短く「ボインゴ」となる)。ホーン・セクションを従えた8人編成という大所帯でスタートした彼らは、オハイオの変態テクノポップ、ディーヴォや50'sなパーティー・サウンドで意表を突いたB-52'sなんかと並ぶ異色のUSニューウェイヴ・バンドとして脚光を浴びた。また彼らは『ティーン・ウルフ』(1985年)、『ときめきサイエンス』(1985年)、『悪魔のいけにえ2』(1986年)、『サムシングワイルド』(1986年)など、映画への曲提供も多かったが、それは同時にダニーの映画音楽への興味をも意味していた。
やがて、「オインゴ・ボインゴ」の大ファンだったティム・バートンが初監督作『ピーウィーの大冒険』(1985年)以来、ダニーを起用し、『バットマン』(1989年)の大ヒットでダニーは押しも押されぬ売れっ子作曲家に。現在では『スパイダーマン2』(2004年)や『ハルク』(2003年)、『レッドドラゴン』(2002年)など、ビッグ・バジェットな映画をサラリとこなしてる。2003年には女優ブリジット・フォンダと結婚し、いまやハリウッド・セレブとなったダニーだが、この『フォービデン・ゾーン』の音楽には、そんな彼の若き音楽ホルモンがたっぷり詰め込まれて、それはもう、はち切れんばかりなのだ。